廃墟好き

剥がれ落ちた塗料の破片は薄汚れていて、塗装された当初の輝きはなかった。
しかしそれを醜いと見るのは浅はかな見方である。
見てくれは確かに薄汚れているかもしれない。だが長年壁を風雪から守り、力尽き剥がれ落ちたその姿は、自分のあらん限りの能力を使い果たし、朽ちてゆく神々しいまでの美しさがある。