俺の存在

あ、跨いで行きやがった。あーあ、うな垂れてしまうわ。
今度はくぐるんかえ!まあ、跨ぐのとくぐるので俺の姿勢が修正されて元通りになったけどもやで、俺の存在は全く無視されてんなあ。
ご丁寧に警報機まで鳴らして、通ったらあかんちゅうて、こうして行く手を遮っとんのに、あ、おばはんが自転車押してくぐりよった。あーあ、自転車の籠の荷物を俺に引掛けてしもて、自転車も倒してしまいよったがな。うわ、もう電車来るで!
おばはん、電車止めてまいよった。
あ、何やねん! 俺に八つ当たりしやがった! おばはんが悪いんとちゃうんけ!
そら急いでんのは判るけど、おばはんひとりのせいで電車に乗ってる人、みんな遅れんねんで? 判っとんか? どうせおばはんも後で電車乗るんやろう。焦って俺を無視して、結局そのつけが自分に返ってくんねんで。
俺はな、何もイケズして道塞いでんのとちゃうんや。そんなに俺を無視するんなら、高架にしてくれ!