手打ち蕎麦

街を歩いていると「手打ち蕎麦」ののぼりが目に入った。
目に入ったといっても、「見えた」という事で、本当にのぼりが目に入ってしまった訳ではない。
そろそろ暑くなってきたし、あっさりと蕎麦なんていいなと思い、その店に入った。
カウンター席には6席あり、4人掛けのテーブル席が三つあった。
カウンター席には中年の男性が一人蕎麦が出来るのを待っていた。
テーブル席が空いていたので一番奥のテーブル席に座った。
店員がお茶を持ってきたので盛り蕎麦を注文した。
待っている間にカウンター席の男性の所に、盛り蕎麦が運ばれてきた。
「手打ち蕎麦」といえば、道路から蕎麦を打っているところが見えるようになっている店が多いが、この店は奥で打っているのか、その作業は見られない。
私のところにも蕎麦が運ばれてきて、薬味をつゆに入れたところで、カウンター席の男性がつゆの入った蕎麦猪口を落としてしまった。
そのとたん店員が猛烈な勢いで出てきた。手には明らかに包丁ではなく日本刀を持っている。
店員はやおら日本刀を抜くと、男性の首を・・・
「手打ち蕎麦・・・」