○っぱえびせん

「えびせん」と言いながら少しもせんべいではない菓子が、無性に食べたくなりコンビニエンスストアーで購入し、帰宅後、ビールを飲みながら食べ始めた。
なつかしいなあなどと思いながら食べていると、香ばしいえびの風味と、絶妙な塩加減についつい食べてしまう。結局一袋、全部食べてしまい、ビールも飲み終わった。
しかし、まだ無性に○っぱえびせんが食べたくてしかたない。
我慢できずに、もう一度買いに行った。

ビールと○っぱえびせんで結構腹が膨らんでいたので、一袋だけ買って帰った。
早速袋をあけて食べ始めた。
「止められない、止まらない」などと宣伝していたが本当だなと思いながら食べていると、腹がいっぱいになってきた。しかし、手は無意識に袋に伸びている。
もう食べられないところまできて、何とか二袋目を食べきった。
しかし、もうこれ以上食べられず、腹いっぱいで動けないはずなのに体は起き上がり、コンビニエンスストアーへと足が動いている。

自分の意思で制御できない恐怖に顔は引きつりながら、小刻みに顔を横に振るのだけれど、体は○っぱえびせんを買っている。そして食べる。
腹の苦しさと、○っぱえびせんの魔力に恐れ、涙を流しながらも食べ続けた。止まらない。止められない。
しかも食べる速度が加速していく。
一ヶ月の間食べ続けた挙句、私の体は400キロに達していた。
しかし止まらない。

半年を過ぎると、巨大化した私は工場で出来るしりから食べるようになり、生産も追いつかなくなってきた。
工場で生産される○っぱえびせんが間に合わなくなると、港に行き、輸入される冷凍えびを直接食べるようになった。
もうすでに、○っぱえびせんではなくなっているが、加速する食欲は誰も止められなくなっていた。
国内に輸入される冷凍えびを食べつくしたあと、直接海に顔をつっこみ、口を開けてえびを食べるようになった。

えびだけではなく、他の海産資源も丸呑みにしてしまう私を、各国は放って置けず、ついに私は各国連合軍によって捕獲されたのであった。