試し割り

空手の師範代三人が各支部から集まり呑みに行こうということになった。
三人は若い頃から共に切磋琢磨してきた親友同士で、それぞれに各支部の師範代を務めるようになった。
酒の席でもあるし久しぶりの再開でもあり、次第に誰が一番強いかと言う話題になった。それぞれ家庭も持っているいい大人であったが、こういうことになると男は子供っぽくなる。
「俺が手刀を振れば、12枚の瓦が粉々にったぜ」
「瓦なんてまだまだ甘いな。俺がまわし蹴りを叩き込めば、5本の氷柱が真っ二になったぜ」
黙って聞いていたひとりが肩を震わせながら言った。
「俺が妻に正拳を打ち込んだら、家族がばらばらになったぜ…」