ドン・キホーテ事件

マンションの一室で一人暮らしの女性が殺害された。
携帯電話のメールから犯人は交際中の男性と判り、逮捕された。
警察による取調べの後、裁判が開かれた。
メールの内容からは、別れ話のもつれの状況が明白でだったが、目撃者はいなかった。
被害者は頭部を殴打されて死亡したが、凶器も見つかっていなかった。
検察側は、犯行動機があると言う一点で責めたが、弁護側は凶器がないことで対抗した。
何度かの公判で、ようやく目撃者が現れ、残りの争点は凶器だけとなった。
そして検察側が、ついに発見したと言って鉄アレイを凶器として提出してきた。
しかしそれは検察のでっち上げで、虚偽の証拠だった。
その虚偽は発覚し、検察の態度が問題となり、事態は複雑化した。
検死からは鈍器が凶器であることは明白であったが、その凶器が発見できず、ついには検察が偽の凶器をでっち上げるまでに至ったこの事件は、後に「鈍器法廷事件」と呼ばれるようになった。