不出来事

ポークソテー

ポークソテーを食べなかった。なぜなら作らなかったし、材料さえ買っていないからである。 そのうえ、ポークソテーなど思い浮かびもしなかった。 それなら、食べたもの以外のものはすべて食べていないと言うことで、とりわけポークソテーだけを槍玉に挙げる…

回し蹴り

相撲取りのまわしを蹴ったりしなかった。

鎖のように

以前から悩んでいた家伝の巻物の解釈について自分なりに結論付けたのだけれどそれでもなんだか腑に落ちず悩みぬいた挙句に発作的に巻物を破り捨ててしまったなどと言うことは全く無い。大体家伝の巻物自体が存在しない。

電車はヨーヨー

通り過ぎる電車と同じ速さで喋る老人の北側を東から眺めて、丁度老人の鼻の辺りに太陽が隠れるようにすると、電車の速度が落ちてきて、それに伴い老人の喋る速度も落ち、駅に付く頃には老人も電車も「ファーン」などと言うので、太陽を隠すのは諦めて、たこ…

忍法帖

元禄時代にまで遡り、至って簡単な仕組みの人間を色とりどりに染め、溜まらないように深くするのはいつでも出来ることなので、弓矢の弦を引き絞った後、好意的な視線で交戦を開始するいわれのない老人の袴をワールド・ワイドにデコンストラクトするなんて夢…

急先鋒

兵隊の襟首を掴んで、西から東まで南北に横断し、命からがら逃げ帰った後、インゲン豆の雑炊で顔を洗ったり、さてはこのごろ怪しい動きをしている壁紙の端を引っつかんでビリビリに張り替えたりはしなかった。

スプリング

頭からバネが出てねじが外れたりはしなかった。

今日の僕は

忍者のこだわりサラダを食べ、ロートルボクサーの気まぐれフックを浴び、統括本部長のまぐれ当たりを目の当たりにして、益体もない悪態をついたり、不遇でもない土偶を愛で、道路復員100mの小道を懸命に散策し、急いでのんびり過ごす事に専念したりしなかっ…

アップデートが完了したって言ってたよ

喉仏に手錠が絡まり大事な家訓を全て忘れてしまい、家具の隅から隅まで主体思想に染まったうなぎを百匹檻にいれたまま、フンボルト・ペンギンが斜めに歩いているので、放送室を封鎖したまではよかったが、俺と俺の内部が錐揉み状態。難しいことは判らないが…