自動販売機に弄ばれる男

130円のお茶を買おうと小銭を入れた。
投入金額の表示は10、20、30と増えていく。次の瞬間「カラン」と言う音が返却口から聞こえた。
表示金額は30で止まったままだった。百円玉が返却されたのであった。
投入した硬貨が認識されないと言うのはしばしばあることだ。もう一度同じ百円玉を投入したが結果は同じだった。
仕方なく、財布から別の百円玉を取り出し投入。またもや「カラン」。
再度別の百円玉を投入すると、今度は先に入れていた三枚の十円玉まで返ってきた。
「なんや?ワシの金が受け取れんのか?」
思わず言ってしまった。
お茶を買おうとしていた自動販売機は駅のホームにあり、私は電車が来ると乗らなければならない。そういう差し迫った状況で自動販売機と遊んでいる暇はないのである。
再び三十円を先に入れ、また別の百円玉を投入し、ようやくお茶を買うことが出来た。
横柄で融通の利かない自動販売機に怒りを覚え
「コイン投入口から缶コーヒー流し込んで、ここで商売出来んようにしたるから、覚えとけよ!」
と捨て台詞を残し、到着した電車に乗り込んだのであった。
新年早々、けったくそわるいこっちゃ。