辻斬り

仕事に行こうと歩いていると、突然辻斬りが現れた。
辻斬りの素浪人はダウンジャケットを羽織ってはいるものの、素足に雪駄履きで如何にも寒そうに、ぶるぶる震えていた。
歯をガチガチ鳴らしながら刀を抜いたが、あまりの寒さに刀を取り落とし、危うく自分の足の上に落ちるところだった。
足を切るという失態は避けたが、アスファルトにおちた刀は、切っ先が刃こぼれしてしまっていた。
慌てふためいて震える手で刀を拾う素浪人を、横目に見ながら通りすぎた。